みき先生ブログ「朝のひとり言から心を込めて」#5~障害者歯科、勤務初日にぶつかった壁~

歯科医師3年目で障害者歯科専門外来にアルバイトに行くこととなり、その勤務初日。

 

はっきり言って当時のわたしは常勤のスタッフ達からすると「お客さん」でした。

 

当時こちらの外来では、歯科医師は曜日ごとの当番制で常勤の歯科医師はおらず、歯科衛生士は常勤勤務者が3人いました。そのような状況では必然的に歯科衛生士さんの考えが優先されたり、診療自体も歯科衛生士さん中心に行われたりします。

 

例えば、行動療法が難しく歯科治療が困難な方の予約はすでに10年以上そちらの病院に勤務経験があり障害者歯科に慣れている先生の枠に入れる。また、当時のわたしのように勤務年数が浅く経験が十分でない先生の時には、定期的なクリーニングやメンテナンスの患者さんを中心に予約をとって歯科衛生士がメインで診察するといった具合です。

 

ですから、アルバイト勤務初日はほとんどいわゆる虫歯治療などは予定されておらず、クリーニング後のチェックなどが私の仕事となっていました。ただ、そのチェックすらままならないわけです。

 

慣れていない先生の診察に患者さんの体が緊張してしまったり、わたし自身も当時はまだ緊張を緩和する脱感作という概念自体を理解していませんでしたから感覚過敏を考慮せず口元を触ってしまったり。今思うと、導入がうまくできていなかったなと反省します。

 

でも歯科衛生士さんが診察すると緊張なくリラックスした様子でお口を開けてくれていました。ここになんの違いがあるのか。

 

はっきりと壁を感じましたが、不思議だったのはこの時点で「自分の専門じゃないから、できることだけやっていればいいや」と思うことはなく、どちらかと言えば「どうやったら患者さんが緊張せずに僕の診察を受けてくれるのか」を考えていました。

 

この日がわたしの障害者歯科をライフワークとするまさに最初の一歩だったように思います。そしてこの日はもう一つ、今でも忘れられない患者さんとの出会いもありました。

 

(続く)