先日、香川県、また全国のパラリンピック指定強化選手の方々に「スポーツと歯」についてお話しさせていただく機会がありました。

スポーツマウスガードによる外傷予防や静的・動的バランスの安定に関する効果、スポーツ選手に多く見られる口腔疾患(う蝕、酸蝕症、顎関節症など)、けがをしない口腔環境を作るためにできるトレーニングなどについて解説させていただきました。
今回の話をきっかけにご自身の口腔に関心を持ち、問題があれば直ちに治療または調整して、万全の状態で競技を進めていってほしいものです。
そしてその先に、われわれ歯科医師によって製作されたマウスガードを使用して、成績を伸ばし東京パラリンピックに出場してくれたなら。こんなにうれしいことはないですね。専門的な立場から、そして一国民としてできうる限りの応援をしたいと思います。

今回の講演会には、ロンドンパラリンピック、リオパラリンピックの投擲ゴールドメダリスト、ドイツ人のビルギット・コーバー選手が参加されていました。
彼女はおよそ10年前、医療事故により小脳にダメージを負いました。それにより四肢の運動障害を持っています。
当然最初は障害に対してショックや否認を繰り返したそうです。しかし、リハビリとして始めたスポーツによって生きる力を取り戻し、逆に生きがいとなり完全に受容できたと話していました。
その後、彼女は2大会で13個ものゴールドメダルを獲得し、今では全世界を廻り、同じ境遇をもつ選手や、障がいをもった方たちに勇気を与えているのです。

コーバー選手からのメッセージを送ります。
「13個のゴールドメダル
結果もすばらしいけれど
スポーツできる喜びと同時に
健常だったころを思い出すことができる
大きく大きく自分自身を成長させることができる
勝ったとしても楽しさがなければ勝ちだとは思わない
一緒にそこに立っている選手たちを尊敬できなければ勝ちだとは思えない
楽しくやるべきだ
そして絶対にあきらめない」